2011年12月27日火曜日

12月26日    シロクマに夢中

 ナショジオでホッキョクグマの番組が始まると、ぎんの目が画面に釘づけになった。
 釘づけなんて、市民文化講座の作文教室で出くわしそうな陳腐な言い回しだが、ときにはなかなか的確だ。ほんと釘で固定したみたい。無理に持ち上げると床がはがれそうなぐらい、じっと「お座り」したまま画面を見つめている。
 
 シロクマが氷の割れ目近くに身をひそめ、呼吸のため水面に顔を出すアザラシを捕まえて食べてしまう様子が映し出されている。おやつのスモークドチキンも引き裂けないぎんが、どうしてこんなものに興味を抱くのだろうか。
 そもそも猫の視力はそんなによくないはずだし、さらに平面画像を立体に引き直して空間的な思考ができるのかどうかもわからない。でも、他の番組には示さない熱心さでシロクマの物語を見ていたのは確かだ。

 書くうちに、こないだ雑誌か新聞かで読んだ寄稿を思い出した。動物園関係の人が「ホッキョクグマをシロクマと呼ぶのが許せない。そもそもシロクマなんて動物はいないのだ」と主張していた。稀にみる細かな意見だ。きっと真面目でめんどうくさい人なんだろうな、と一瞬、決め付けそうになった。が、待てよ。
 
 もしかして自分の子どもに「夕焼け小焼けのアキアカネ~♪」 と歌って聞かせたりしているのではないだろうか。寿司屋でハマチを注文するとき「ブリの幼魚ください!」などと言っているのではないだろうか。そう考えてみると、案外面白い人かもしれないという気もしてきた。

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